4. インドネシア バリ ボロ…
4. インドネシア バリ ボロブドゥール遺跡に彫刻された船を復元
2014年〜2017年、ホクレアは世界18カ国150以上の港を訪れる、Mālama Honua(世界一周航海)へと出航した。「地球をいたわる」航海の中で、地球という島に住む人々に出会い、彼から学んだこと、彼らとのつながりを発信しています。ここでは、インド洋、バリでの航海の様子を紹介します。
2014年〜2017年、ホクレアは世界18カ国150以上の港を訪れる、Mālama Honua(世界一周航海)へと出航した。「地球をいたわる」航海の中で、地球という島に住む人々に出会い、彼から学んだこと、彼らとのつながりを発信しています。ここでは、インド洋、バリでの航海の様子を紹介します。
ホクレアクルーのナアレフ・アンソニーは、インドネシア・バリにあるボロブドゥール遺跡を訪問しました。そこの石壁には、仏典のお話から浮き彫り細工を用い当時の状況を描写しています。ヌサンタラは島嶼群であるため、移動には船が使われていました。寺院の石壁に船が描かれており、歴史上の出来事の証と言われています。彫刻には船乗りの感情の表現やお互いの関わり合いが事細かに描かれています。恐怖心や意気揚々とした表情で、ホクレアが航海しているときのクルーの表情の反映とも感じとられます。マストや帆、竜骨、舵柄や舵板などのパーツが彫刻に描かれていてどこかへ航海に出る姿なのです。
サムドラ・ラクサと名付けられた船は、石壁に感化され、レプリカ船として作られました。「過去にやれたことであれば今でも出来るはずだ。国のプライドを持とう」という願いからこの船が誕生しました。寺院の再建設や石壁の船、それから船を作りたいという思いは、70年代にハワイアンやポリネシアンが航海カヌーを作りたいと思った考えととても似ています。もう一度船を作り直す過程の中で、過去にどういう思いや、何が起きていたのかを理解することが出来たはずです。船を作ろうという思いが明確な意図としてあったのも同様です。答えは分からない、何が可能なのかもわからず、進めただることで誇りを培いました。「そこにある気づきは、船の彫刻となっただけでなく、寺院全体に命を吹き込むことになった」とナアレフは言います。
復元した船は、マダガスカルに向かい、その途中多くの港にも立ち寄ります。地元の人たちに出会い、言語や農業、食べ物から文化的な共通点を発見します。今のように比較的航海が楽に出来る1000年以上も前のことです。「ただし彼らは成し遂げられる知識と才能を十分持っていたのです」とナアレフは加えます。
ボロブドゥールは過去の栄光のシンボルでとても重要なものです。先代が残してくれたものを保全維持し、再び改修する必要もあります。次世代へと引き渡していくために、生涯をかけた仕事としていい状態にしておかなければなりまん。残すための作業ではなく、関わり合い時間をかけて大切に守り抜かなければならないのです。
「先代が残したレガシー。やり続けるよう言われている気がします。石壁や彫刻をながめ座り、先代に問いかけます。かつては多くのものが発展していなかったのに、どうしてこのように彫刻ができたのだろうか。どんな道具を使ったのだろう。多才にこなせる先代たちに感銘を受けます。」とウェルディは付け加えます。
ナアレフは最後にこう言います。「先代とつながるため航海に出ます。太平洋の島々を航海してきました。話を聞いたからなのか、この寺院への訪問があったからなのか、私たちは先代を目覚ますために航海しているのだと思えます。心地よさを与えてくれるのです。」
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